大分空港が航空宇宙港になる

投稿者: | 2020年4月5日

ANAホールディングスが進めていた、航空機から発射するタイプの空中発射ロケット会社Virgin Orbitのとの提携で、日本で空中発射ロケットに適した空港として、大分空港を選定した。日本の地理的環境が空中発射ロケットと適合していることの証拠であるが、先に海外企業から参入されるのは悔しい。

立地

選定理由はまだ明らかにされていないが、機材の海上輸送に適した海に面した既存の空港で、滑走路が3000mあり、民間機の使用頻度が高くない、点が評価されたのだろう。USEFがまとめた「マイクロ衛星打ち上げ用空中発射システムに関する調査研究報告書」にあるとおり、空中発射に適した空港として下記の要件が求められる。

  1. 空港の発着頻度が少ないこと。
  2. 空港内もしくは空港隣接地において衛星整備及びロケット整備が出来ること。(火薬類、危険物、高圧ガスの取り扱い及び無線局の開設)
  3. 空港内で衛星を内蔵したロケットを航空機に搭載できること。
  4. 空港から海上までのルートに、人口密集地がないこと。
  5. 作業者、器材(衛星、ロケット、整備用機器等)の輸送ルートが確保できること。

羽田空港のような都市空港は項目1と4を満たさないし、伊豆大島のような小島だとインフラ整備にお金がかかる可能性がある。

大分空港は瀬戸内海に面しているが、太平洋に面しているわけではないため、陸上発射のロケット発射場には適さない。陸上発射の場合は、発射後1段燃焼終了くらいまでは人が住んでいる陸地の上を飛行することが出来ないためである(日本では)。一方、航空機で離陸後、海上まで飛行後に発射する空中発射ロケットにとっては問題とならない。恐らく太平洋まで飛行機で移動した後に、四国南方沖から発射するのだろう。そこからなら東向きに発射すれば低軌道(LEO)、南向きに発射すれば太陽同期軌道(SSO)に衛星を投入できる。

確かに良い空港である。思いつかなかった。

内閣府による許認可

もう一つ考えなければならないのは、法律である。現在、日本国内から衛星を打上げるためには、内閣府に申請して許認可を得る必要がある。そもそも、ロケット打上げに関する責任は、宇宙条約第7条により、打上げ国が最終的な責任を負うことになっている。

国の領域から宇宙空間に物体が発射される場合において、物体又はその構成部分が他の国又はその自然人若しくは法人に与える損害について当該国は責任を有する。

(宇宙条約第7条)

これまで日本では、東京大学やJAXAなどの国の機関以外の民間組織が人工衛星を打上げたことはない。今後の民間による打上げ活動を可能とするため、令和元年9月に施行された宇宙活動法(正式名称:人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律)により、民間による人工衛星の打上げに必要な手続きが決められた。これにより、スペースワンやインターステラテクノロジズなどの民間組織がロケットを打上げて人工衛星を軌道に投入することが法的に可能になった。

空中発射ロケットや船舶から発射する洋上発射についても規定されており、許可が必要となる対象は、「第四条 国内に所在し、又は日本国籍を有する船舶若しくは航空機に搭載された打上げ施設」である。

海外の組織が日本国内で打上げる場合

Virgin Orbitの場合は、発射母機が日本国籍ではないわけだが、第四条の対象から外れるのかどうかは私には分からない。「打上げ施設」という言葉は第二条第四項に規定されていて、「人工衛星の打上げ用ロケットを発射する機能を有する施設」であるが、大分空港やそこに設置される地上設備が打上げ施設に含まれるのかどうか。航空機だけでロケットを発射する機能が完結しているわけではないはずなので、やはりこの法律の対象になるように思う。