アストロバイオロジー

投稿者: | 2020年3月16日

最近、アストロバイオロジーという学問分野を勉強する機会があった。その主なテーマである生命の起源について、大変面白い内容だったので紹介する。

本の紹介

アストロバイオロジーについて読んだ本を紹介する。千葉工業大学の惑星探査研究センターの松井所長の著書である。

  • 「松井教授の東大駒場講義録」 松井孝典 著、集英社新書
  • 「天体衝突」 松井孝典 著、講談社ブルーバックス
  • 「人類が生まれるための12の偶然」 眞淳平 著、松井孝典 監修、岩波ジュニア新書

以下、本の内容を織り交ぜながら、思ったことを述べる。

生命の発生

最も驚いたのは、地球上で生命が誕生したのは、約40億年前の一時期だけ、という事実である。言い換えると、最初の生命が誕生して以降、40億年間は新たな生命が発生していない。確かに生命の誕生という非常に稀な現象は、地球のように特別に環境が整った星でしか起こらない。しかし、その環境が整った地球が46億年間存在し続けていいるのだから、40億年前以外にも、それが何度か起きていても不思議ではなく、その場合、何種類かの独立した家系の生命体が地球に存在しているはずである。ところが現在の生物は全て40億年前に発生した生命の子孫であることが、生物を構成するアミノ酸の型から分かっている。

海が出来たり、隕石落下が落ち着いて、生命の発生条件が整って以降、40億年前の生命発生まで、割と短期間であることから、条件さえ整えばどの星でもすぐに生命は発生するのかな、と考えていたが、地球上ですら40億年間起きていないという事実は、その考えを否定する。それどころか、40億年前に何か生物のきっかけとなる物が、外から降ってきたのではないか、という考えが沸く。実は、それが今現在も降ってきているが、大気組成などの環境が変わってしまったことで、子孫繁栄に繋がらなくなった可能性もある。

バイオポーズ

太陽風の影響が届く最も遠い限界をHeliopauseと言うが、これに倣って、生物圏の及ぶ最も高い限界をBiopauseと名付けた。これが成層圏の度の高度にあるのかは未知であるが、これを調べる実験が惑星探査研究センターで行われている。もし生物の元が外から降ってきているとすれば、Biopauseは無いのかもしれないし、何か境界が見つかった場合、そこで何が起きているのかを知ることは、生命の発生起源に迫ることになる。