一番美味しいラーメンだと思っている。今まで様々なラーメンを食べてきたが、未だに超えるものにあったことがない。学生の頃は毎週土曜は必ず行って(毎日行くとお金が持たない)、関西に住んでいた頃も、関東出張の際は可能な限り食べに来ていた。
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担々麺が基本メニューで、詳細なメニュー紹介は他に譲るが、一般的な担々麺とは一線を画す、別のラーメンと言ってもいい。椀の底に柚子が少量入っており、最後に少し味が変わる。ここのラーメンだけは汁まで飲み干すと決めている。酸辣麺も独特でうまい。こちらは非常に黒酢の風味があるので、不用意に麺を啜ると咳き込むことになる。私は4回に1回くらいは酸辣麺を食べる。
2001年の開店時から24年以上通っているが、味は殆ど変わらない。チャーシューだけは少し変わり、最初の頃は粗挽き故障が中央に入った特殊なチャーシューだった。今はデフォルトで入っているチンゲン菜は、最初は入っていなかった気がする。褐色の煮卵も名物で、これまた独特である。カウンターにある真っ黒のスープの中で煮込まれている。一度行くと有効期限が2050年の卵無料券を貰えるため、実質的に毎回無料になる。私は注文時にこれを必ず最初に提供してもらうようにお願いし、ラーメンが来るまでの待ち時間に、この卵を味わう。
最初は現在の位置より赤門側に20mくらい近い場所にあったが、数年くらいして現在の位置に移動した。余談だが、元の場所には現在別のラーメン屋が入っていて、カウンターの作りも当時のままである。
マスター(店主)はとても感じの良い紳士で、店にはこだわりのジャズが流れている。ラーメン屋にしては珍しいが、ラーメンそのものが独特なので違和感はなく、むしろ私の中では、ジャズとごまの匂いが瀬佐味亭の世界として認識されている。ここ10年くらいはお見かけする確率も低くなったが、当初は毎日店頭に立って、若い二人の弟子の3人で切り盛りされていた。この弟子さんの一人は今でもたまに見かける。2020年くらいだろうか、久しぶりに店頭でマスターをお見かけした時は、私を覚えてくださっていたようで「懐かしい顔がいると思った」とお声掛け頂いた。会話をしたのは、開店当初とこのときの2回くらいしかないが、嬉しかった。
いつからか虎ノ門店もオープンした。こちらにもたまに行く事があるが、マスターをお見かけしたことはない。オリジナルの本郷店は、今年の11月にはまた移動するとのこと。また赤門側に近づくが、元の位置を通り越して、より赤門に近づくようである。
赤門と言えば、2021年から耐震性の問題で閉門されている。再び開門するためには工事が必要で、10億円を目指して寄付を募っている。閉門からもう4年経つので、赤門を潜ることがないまま卒業しそうな東大生もいると聞く。瀬佐味亭に通うため(だけではないが)何回も潜ったものだが、いつ通ってもほぼ必ず観光客がカメラを向けているので、なんか緊張するのである。再び開門する日を待ちわびる。
