ハッブル宇宙望遠鏡「を」見たことがある

投稿者: | 2020年1月10日

人工衛星を肉眼で見たことは何度もあるが、最も印象的だったのは、ハッブル宇宙望遠鏡である。昨年、子供の学校の宿題で月の位置変化を観測するというのがあって、スマホのアプリで当日の星空を確認したところ、ちょうど観測時刻にハッブル宇宙望遠鏡が月のすぐ下を通過することが分かって、双眼鏡なら見えるのではと思って準備した。

通過予定時刻の30秒前になったので子供に方向を指示して監視させていたら、動いているのが見えると言い出した。その時はまだ肉眼では見えなかったが、月の下を横切っていった後に徐々に明るくなって、余裕で肉眼で見えるようになった。大阪の中心部方向の明るい空、しかも半月が煌々と光っている状態だったので、0等星かマイナス1等星くらいだと思う。

国際宇宙ステーションを見たときは金星くらい明るくて見応えがあったが、ハッブル宇宙望遠鏡は肉眼で見えると思っていなかったので、感動した。なお、子供はハッブル宇宙望遠鏡を知らなかったが、実物を見て初めて知ることになった。

見るための条件

他に例を調べても、ハッブル宇宙望遠鏡の観測例はあまり出てこなかったが、私たちが見た増光現象(フレア)は珍しいようだ。

イリジウム衛星など、太陽の光を受けた人工衛星のフレアが地上で観察されることはよくあるが、HSTの場合は通常3等級以下と暗く、さらに観測や調整などでたびたび向きが変わるためにフレアの確実な予測が難しいので、なかなか見る機会が少ないようだ。

https://www.astroarts.co.jp/news/2011/02/09hubble-flare/index-j.shtml

ハッブル宇宙望遠鏡の軌道高度は約560km、軌道傾斜角28.5度である。よって、北緯28.5度より北の地域では南天に見える。北海道のような高緯度では、高度が低くて見え難いかもしれない。

観測時刻は午後6時半、日が沈んで空が暗くなってすぐ。この時間帯は、空は暗くて、衛星が飛ぶ高度500 kmあたりではまだ太陽光が当たるため、衛星の反射光が見やすい。

見え始めから視界から消えるまで、数分間ほど。初めは暗くて肉眼で見えないかもしれないので、星図アプリで方向と時刻を確認し、双眼鏡で探す。あとはフレアが起こることを祈りつつ光跡を追う。