機械式腕時計の日差

投稿者: | 2019年11月23日

概要

歯車とゼンマイで構成された機械式時計は、クオーツ式や電波時計と比べて、 大きな誤差を持つ。一日当たり生じる誤差を日差といい、[sec/day]で表す。 一般論として日差は、気温が高いほど遅れるとされている。 (参考文献

しかし、自分もSEIKOの機械式腕時計を長い間使用しているが、 どうも逆の傾向のように感じられたので、2年間実測してみた。 結果、確かに夏季よりも冬季の方が遅れが大きいという傾向が確認された。 何故、一般論と逆の傾向なのか不明であるが、自分で実験するまで やってみなければ分からないという事を改めて感じた。

測定方法

日常的な時刻合わせの際、修正した秒数と日時を記録する。 具体的には、時刻合わせの事前に標準時との誤差を記録しておき、 前回の時刻合わせ日時からの経過日数で割ることで、日差を求める。 期間は、2014年1月~2015年12月まで2年間行った。自分の腕時計の場合、 平均日差が15秒くらいなので、月に数回、時刻合わせを行っている。 2年間で76回の時刻合わせを行った。

測定結果

下図に測定結果を示す。日差は数字が大きいほど遅れている事を表している。 比較のため、 横浜の平均気温も示している。気温の増減と逆位相で変化しており、 夏季は時計が速く進み、逆に冬季は時計の遅れが大きくなっている。 一般論としては、気温が高い時は「てんぷ」が熱膨張し、 慣性モーメントが増すため、固有振動数が下がって遅れるはずであるが、 実測してみると逆の傾向であった。 ただし周期は1年で変動しており、外部環境により影響を受けていることは 確かに言える。

日差の履歴

機械式腕時計の日差」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: SEIKO機械式腕時計の修理 – それでもロケットは回っている

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