ボルツマンのお墓参りに引き続く、物理学者のお墓参りシリーズ第2弾。(第3弾はサディ・カルノー)
アイザック ニュートンは、ロンドンのウェストミンスター寺院の中に埋葬されている。ロンドンで開かれた学会に参加した折に足を運んでみた。
ウェストミンスター寺院
ウェストミンスター寺院(Westminster Abbey)は、ビッグベンの近所にあり、私が訪れた2019年9月では確か18時が入場最終時刻であった。残念ながら、寺院の内部は一切撮影禁止。よって本ページには写真が無い。
入口で入場券を購入してパンフレットをもらうと、中は自由行動。この寺院の埋葬方法は非常に独特であり、寺院の石畳や石壁の内部に埋め込まれ、名前や死亡年月が刻まれた石板で蓋をしている。廊下の床にも所狭しと並んでいるので、見学参拝者はそれらを踏みつけていく。
ニュートンは別格
昔の貴族や王などは流石に床ではなく立派な石像と共に埋葬されている。ニュートンのお墓は出口のある最後の大広間にあるので、急いでいる人は途中をかなりすっ飛ばさないと、ニュートンにたどり着く前に閉館時間を迎えるので注意。
ニュートンの扱いはやはり別格であり、石造りの天球儀などを備えた立派なモニュメントとなっている。そしてその足元の床には、最近埋葬されたホーキングだけでなく、相対論的量子力学のディラック、電磁気学のマクスウェル、グリーンの定理のグリーン、ロウソクの科学のファラデー、温度のケルビン、そして向かって少し左に離れた所に進化論のダーウィン、ペニシリンの発見者アレクサンダー・フレミング達が、全員床に埋葬され、毎日人に踏まれている!過去数百年の科学の歴史が床から湧き出ているような不思議な空間だった。
ニュートンのモニュメントは凝った作りをしており、彼の人生と科学的成果を体現したものとなっている。由来が分からないものもあったので、そばで解説していた神父に丁寧に教わった。ちなみにこの方は初老の日本人のような容姿だったが、日本語は話せないようだった。
- 天球儀:天文学に対する貢献
- 望遠鏡:ニュートン式発射望遠鏡の発明。ちゃんと反射式の形をしている。
- 惑星系:惑星の動きを万有引力で説明
- 天使が持つ書物:惑星の楕円軌道の説明図。プリンキピアか?
- コイン:ニュートンは初め、コインの鋳造に関する仕事をしていたらしい。
数式
ディラックの銘板にはディラック方程式、ホーキングの銘板にはブラックホールのホーキング温度の式が書かれている。マクスウェルにはマクスウェル方程式を書いてほしかったが、数式は書かれていない。
ウェストミンスター寺院の科学者コーナーについては、京大の吉田教授の記事も参考にして頂くと良いと思う。
ピンバック: ボルツマンのお墓参り – それでもロケットは回っている