中国の新型ロケット、長征12が打ち上げに成功した。この1段目に搭載されているYF-100Kエンジンは、中国独自のpump rear swing 技術を使用しており、今年の4月に4基クラスタの同時点火試験に成功していた。
どういう技術か
調べてみると技術情報が少ないが、中国語のサイトでようやく見つかった。中国語では「泵后摆」と書かれており、日本語に直訳すると「ポンプの後ろで振れる」である。発表されたのは6年以上前で、
新浪军事のサイトに分かりやすい動画がある。
通常の液体ロケットエンジンでは、左のようにターボポンプを含めたエンジン全体を左右に振って推力の向きを変える。右側の泵后摆エンジンでは、ターボポンプは動かず、燃焼室とノズルだけがスイングする。このため、ターボポンプと燃焼室の高圧配管の途中に蛇腹のフレキシブル配管が入っていて、これが技術のポイントということになる。こちらの論文(中国語)の5.1節にも詳しい説明がある。
backは誤訳では?
ChatGPT-4oによれば、「ポンプがエンジンの後部(排気側)に配置され」エンジンをスイングさせる、という謎な説明になっている。また、一部の英語サイトではpump back swingとも表記されていることもあるが、「泵后摆」の后はポンプの後流部(流れの意味で後)という意味であろう。だからbackは誤訳である。rearも微妙に違う気がするが。