ChatGPTによる論文査読者の出身国の推定

投稿者: | 2024年6月30日

査読つき論文とは、第三者によるレビューを受けて受理された論文である。指摘に際して遠慮や忖度をしなくて良いように、著者に分からない形で査読者が選定されるシングルブラインド形式が一般的である。著者が誰なのか査読者にも伏せられる形式はダブルブラインドという。著者は、どうしても査読者が誰なのかが気になるものである。そこでChatGPTに、査読コメントから査読者の出身国を推定させてみた。

私が過去に作成した査読コメントから、作文者の出身国を推定させてみたところ、正しい答えを推定した。逆に自分の論文が受けた査読コメントから査読者の出身国を推定させると、言葉遣いからフランスやドイツなど、英語を母国語としない国であること、中でも特定の国である可能性が高いことを教えてくれた。年齢や性別については推定できなかった。

査読者というのは、狭い業界から選定されるため、大体この人ではないかという勘はあるものだが、それに出身国の情報を付加すると、かなり高い確度で特定できる場合もあるかもしれない。投稿前にネイティブによる校正を受けたり、それこそChatGPTに作文させた場合は分からなくなる。しかし、論文本体については丁寧に校正する場合が多いが、一般公開されない査読コメントは、校正サービスに出さず、書いてそのまま送信する場合が多いのではないか。査読時に自分を特定されないようにするには、査読コメントも校正を通した方が良いだろう。