世界最小の衛星打上げ液体ロケット

投稿者: | 2020年12月17日
Astraのロケットが軌道投入一歩手前で失速

別記事で紹介したAstraのロケットが、衛星打ち上げに失敗。1段目と2段分離までは成功。2段燃焼の最後、秒速7.2 km/sまで加速したところで、推進剤が枯渇してエンジンが停止。軌道速度まで後わずかに足りないため、地球に落下。燃料の配合比をチューニングすれば次回は必ず成功すると言っているので、酸化剤か燃料のどちらかだけが多く消費され、先に枯渇したということだろう。

ロケットとしては、ほぼ成功と言って良いだろう。衛星を投入できれば、現在、衛星を軌道に打ち上げた世界最小の液体ロケットであるElectron(全長17 m)を抜き、世界最小の11.6 mの液体ロケットとなる。なお、固体ロケットも含めると、SS-520-5号機の9.65 mが世界最小の衛星打上げロケットとしてギネス認定されている。

Rocket LabのElectronと、AstraのRocket(ロケットにRocketという名前を付けるのはやめて欲しい)に共通しているのは、電動ターボポンプを採用している点である。これは、燃焼ガスで駆動したタービンでポンプを回すのではなく、バッテリーとモータで駆動する推進剤ポンプであり、システムの簡素化と低コスト化が実現できる。液体ロケットを小型化する上で必須の技術と言える。